セブンイレブンといえば日本における24時間営業、年中無休の【コンビニ】というドル箱の収益モデルを確立した物販の革命児です。
今でこそコンビニといえば24時間営業、年中無休が当たり前ですが、当時は24時間営業する店舗は皆無でした。
いま、コンビニに行けば生活で必要な”身近な必需品”はすべて揃います。
インスタント食品や飲み物以外にも、今では当たり前の以下のサービス一覧です。
宅配業務(メルカリと提携)
郵便ポスト
ATM(各銀行にすべて対応)
酒
タバコ
各種支払い(振込)
コピー機(複合機)
チケット予約
あの小さな店舗の中にこれだけの便利機能が、すべての店舗で共通して揃っていることはどれだけ素晴らしいことか。
都会なら少し歩けば次々にコンビニが目に飛び込み、郊外では大きな交差点には必ずあるのがコンビニです。
24時間、年中無休となればコンビニ以上に便利な「何でも屋さん」は見当たりません。
私たちは無意識のうちに、この【圧倒的なホスピタリティ】を享受するためにコンビニへと足を運んでしまいます。
このように24時間365日、お店を開店させ続けることによって得られる収入は親会社のセブンホールディングスのドル箱事業へと成長させることになりました。
しかし、「最強の何でも屋さん」のコンビニはそこで働く人によって支えられているのを忘れてはいけません。
最近は、就労環境が余りにも過酷ということで次々に改善するように各地で声が上がっています。
王者セブンホールディングスを支えたドル箱事業は転換期を迎えたのか?
最近のコンビニ環境にスポットをあてたいと思います。
コンビニ24時間営業は人手不足で成り立たない
コンビニオーナーの仕事とは?
・商品の陳列と販売
・人材の確保
ご存知のように、コンビニはどの店舗も24時間、365日が当たり前となっています。
それを支えるのはコンビニで働く従業員があってのことなのですが、その従業員を取りまとめるオーナーの多くは【フランチャイズ制】といって、コンビニ会社の研修を受けた個人のオーナーです。
研修を受けて、会社が用意したコンビニを自分の店として切り盛りするのです。
会社からは各商品が配達されますので、それをお客様に提供出来るように陳列し、販売するのがオーナーの仕事です。
あとはコンビニという最強の店舗ブランドが好立地にあれば、勝手にお客様を呼んできてくれるので店長はお店を開店させるだけでいいのです。
オーナーのもう1つの役割として、その他の従業員であるアルバイトさんを募集するのも仕事となります。
24時間年中無休なので複数のスタッフを雇うことは必要不可欠です。
常時2名以上、忙しいときは3名、4名と必要なだけにスタッフを集めるのにも一苦労です。
好景気では人手不足になる
不景気のとき
不景気のときでは人材というのは余る傾向にあります。
従業員を雇う企業の生産性が落ちるので不必要な人材は雇わずエコ運転をしています。
必要最低限の従業員で会社を回すので、就職したくても出来ない方が存在し、アルバイトとして雇いたい会社は人材には困りません。
好景気のとき
反対に好景気のときは人手不足です。
ここぞとばかりに企業はフル回転で営業します。
設備を増強し、人を増やし、1円たりとも損しないように必死に仕事をするのです。
そのような環境では人材は企業間で取り合いになります。
(参照:【2019年版】有効求人倍率)
有効求人倍率
10年前⇨0.47(近年で最低値)
1年前⇨1.61(過去最高)
1倍を超えて以降は人材は売り手市場から買い手市場へを変わったことを意味し、人材争奪戦が繰り広げられるのです。
そして人材を確保するうえで働く側が求める条件がこちら
・時給が高い
・働く時間の調整がしやすい
・休みが多い
・働く場所の雰囲気がいい
・周りのスタッフがいい感じ
・福利厚生がしっかりしている
・自宅から近い
これらの条件が揃っていればいるほど、人材争奪戦では有利になります。
人材獲得競争でコンビニは好景気のとき不利?
好景気のとき、人材争奪戦ではコンビニは不利な状況にあります。
・24時間365日営業するので、必要なスタッフがかなり必要であること。
・フランチャイズ制なので、店舗の運営はオーナーの自己責任になります。人材獲得に関しても基本的にはオーナーが対応しなければならない。
コンビニの契約ではロイヤリティを支払うことが盛り込まれているので、儲けがなくても一定の契約額を親会社のコンビニに支払う必要があります。
人材に充てる資金はオーナーが決めるのですが、資金面と人材獲得面でオーナーは日々、工面しなければならずこれが最近の問題となっているのです。
【コンビニ24時間営業論争】バイト代高騰でオーナーは経済的にも厳しく。ビジネスモデルの岐路
「24時間はもう限界」セブン-イレブンFC加盟店が時短営業で本部と対立
ブラックコンビニのセブンイレブン
いまセブンイレブンがブラックコンビニの筆頭に挙げられています。(他社のコンビニも同様)
コンビニのオーナーは店舗の運営を任されており、お店を切り盛りすることが仕事なのですが、過去最高となる有効求人倍率に伴う問題点が顕著化しています。
24時間営業するための人材がいない
人材を確保する条件をもう一度おさらいします。
・時給が高い
・働く時間の調整がしやすい
・休みが多い
・働く場所の雰囲気がいい
・周りのスタッフがいい感じ
・福利厚生がしっかりしている
・自宅から近い
他の事業所よりこれらの条件が優れていたら人材は集まります。
しかし有効求人倍率が高いということは、より優れた条件を提示しないと他の事業所に人材を取られてしまうのです。
しかしコンビニ特有の営業モデルがこの問題を難しくします。
「コンビニ=何でも屋さん」の苦労
コンビニというのは見出し通りの営業モデルです。
いつでも、どこでも、近くにあるコンビニなので他のコンビニと差別化を図ることが難しいという点がひとつ。
そして生活必需品を主に取り揃えているので、景気がいいから売上げが倍増といかないのが現実です。
コンビニオーナーからすれば、好景気でも不景気でも売り上げが大きく変わらないなか、人材に充てる資金を捻出することが難しいのが現実なのです。
コンビニの収入が増えないなら支出を減らす
コンビニに限らず、店舗を経営する方なら誰もが真剣に取り組むのが支出の削減です。
利益というのは二つの要素で決まります。
- 収入
- 支出
当たり前の話ですが、重要です。
コンビニの営業モデルからして、差別化が難しいわけですから売上げを押し上げる方法と言うのは限度があります。
ならば支出を減らして利益を確保したいと思うのがオーナーです。
その方法は以下の通り。
・スタッフを減らす
・営業時間を縮める
・定休日を設ける
・光熱費を削減する
・時給を減らす
人材確保の方法と逆のことをすればいいのです。
ですがこれは諸刃の剣です。
これで支出は減らすことは出来ますが、今まで24時間、365日営業というコンビニとしてのホスピタリティを失うことは売り上げを落とす原因になります。
そしてコンビニとしての信頼を失う理由になるのです。
信頼を失い、客足が遠のけば支出減を上回る収入減になる可能性があり、元も子もないのです。
コンビニとオーナーで意見が対立
有効求人倍率の上昇とともに、既存の経営モデルが立ち行かなくなっているのは間違いありません。
人を確保できない理由から、24時間、365日営業をやめるよう各地のオーナーから声が上がっています。
しかし6万店舗近くあるコンビニを全国に持つコンビニ側はこれに難色を示しています。
親会社からすればドル箱であったコンビニ事業は絶対に譲ることが出来ません。
譲れない点は以下のとおり。
・24時間
・年中無休
・どの店舗でも同じサービス
・なんでも揃っている
これはコンビニのブランドなのです。
コンビニ事業を行ううえで譲ってはならないと考えているのがコンビニ側の意見で、そのためにもオーナー側と契約書にて書面を交わしています。
契約当初にこの企業ブランドを守といって契約したんだからちゃんと守ってよ!
というのはコンビニの言い分です。
契約を守らなければ支援を打ち切るなど、強硬論でオーナーの事情は配慮しないのが基本姿勢ですから、オーナーは契約と現実との間で頭を抱える日々が続いています。
現実問題、コンビニを営業できない
コンビニとオーナーが揉めても人手不足が解消されることはありません。
コンビニ業界の人手不足は今に始まったことではありませんが、近年は特に顕著で何をやっても人が集められない環境が続いています。
しかしコンビニの対応としては、人材獲得に関してはオーナーの責任として突き放し、ロイヤリティは契約だから貰うという冷たい対応のため全国のオーナーは声をあげているのです。
人手不足に関しての解決策は?
全国的に問題であるコンビニの人手不足に関して、都心では『無人化』が実験的に進めれらています。
深夜を無人化し、昼間もレジの一部を機械が担当するので人材を減らすことに一定の効果があると期待されています。
ただし、導入には多額の経費がかかると見込まれており、それを個人のオーナーが背負えるのかが新たな問題となります。
このように人材不足の問題が全国で山積しているコンビニの問題。
店舗数も多いだけに課題克服には多くの時間がかかりそうです。