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【年金が2割減?】財政検証の所得代替率が下がるカラクリを分かりやすく解説

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5年に一度行われる『財政検証』とは厚生労働省が行う年金についての”今後の未来”を検証する作業のことです。

 

先日、5年ぶりに財政検証が行われ2060(41年後)までの年金財政の見通しが発表されました。

 

世間では以前から財政検証の内容はかなり酷いのではないかとウワサになっていました。

 

・年金支給額の減額
・支給開始時期の先送り
・年金掛け金の増額
・加入期間の延長

 

など多くのウワサが囁かれていました。メディアではあらゆる視点から未来を予測していますが、一番正確な未来はこの『財政検証』の内容でしょう。

(参照:2019年財政検証【厚生労働省】

 

参議院選挙後に発表して選挙結果に反映しないよう隠したかどうかは一度置いておき、厚生労働省が示した未来について検証してみましょう。

 

 

財政検証が示した未来とは?

 

年金は『100年先でも安心』の制度設計のもと、【マクロ経済スライド】という運用方法を用いて日々、運用しています。

 

なので基本的には100年後も年金は存続するはずなのですが、間違いなく存続させるためには適宜運用方法を見直していかなければなりません。

 

結果として調整される項目は以下の通りです。

 

1.年金支払い額
2.年金受給額
3.支払期間
4.受給期間

 

この4項目を変化させ100年持つようにするのです。
 
周知のように、日本は少子高齢化社会で人口減少時代です。年金の担い手が減るのであればほぼ間違いなく以下の将来をたどると思われます。

 

年金支払い額 ⇒ 増額
年金受給額  ⇒ 減額
支払期間   ⇒ 長期化
受給期間   ⇒ 受給開始年齢先送り

 

 それでは実際にどのような検証結果が出たのでしょうか?

 

年金財政検証結果

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財政検証では予想される未来を良い未来~悪い未来と6つに分類して検証しています。

 

皆さんが注意するのは【所得代替率】です。

 

ケースⅠ~Ⅲまでは50%を維持できる想定です

ケースⅣ~Ⅵは50%を下回り、法律違反となる水準です

 

ケースⅠ

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 ケースⅠは想定される最高の結果です。

 

物価上昇率:2.0%
賃金上昇率(実質):1.6%
年金の運用利回り:3.0%
経済成長率(実質):0.9%
出生率:1.44(現在の水準)

 

経済成長と労働市場への参加が進むケースです。

 

政府が目指している(理想とする)水準なら2060年の所得代替率は51.9%

 

物価上昇率の2.0%が長らく達成できていませんが、それでも政府目標は下げられないので、最高のケースとして登場させたのでしょう。

 

一番注意する点は、それでも所得代替率は

61.7%➩51.9%

になるということです。

 

つまり何があっても現在の水準から引き下がることは間違いないのです。

 

ケースⅢ

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ケースⅢは平均的な想定結果です。

 

物価上昇率:1.2%
賃金上昇率(実質):1.1%
年金の運用利回り:2.8%
経済成長率(実質):0.4%
出生率:1.44(現在の水準)

 

経済成長と労働市場への参加が進むケースのなかで低く見積もった結果です。

 

政府が目指している(理想とする)水準なら2060年の所得代替率は50.8%

 

ケースⅠは達成できなかったとしても、平均だから一番可能性のある”未来”としたいのでしょう。

 

所得代替率はケースⅠと比べて

51.9%➩50.8%

とほぼ変わりません。

 

ケースⅠとⅢでは水準自体に変動はないと言っていいでしょう。

 

 

ケースⅤ

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ケースⅤは成長できるなかで一番低く見積もった結果です。

 

物価上昇率:0.8%
賃金上昇率(実質):0.8%
年金の運用利回り:2.0%
経済成長率(実質):0.0%
出生率:1.44(現在の水準)

 

経済成長と労働市場への参加が一定程度進むケースで低く見積もった結果です。

 

ケースⅤの場合だと2043年に所得代替率は50%に到達してしまいます。

法律上では50%を下回わることは認められていませんが、仮に何も制度を変更しなかった場合は2058年には所得代替率は44.5%まで落ち込むとなっています。

 

ケースⅤではとうとう所得代替率が50%を下回ることから何かしら政府は年金制度の見直しを迫られることなります。

 

注意するべきはケースⅤ

 

私個人としては日本が歩むであろう一番高い確率はケースⅤです。

 

「予想は常に悪い場合をしておくべき」というのは受け売りの言葉ですが、可能性が一番高いケースだと思います。

 

理由は少子高齢化だからです。

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(参照:総務省|平成28年版 情報通信白書|少子高齢化の進行と人口減少社会の到来

 

総務省が発表しているこの表のようでは2060年には日本の人口は8600万人になると予想されています。

経済の源は『人』です。人が多くいればいるほどお金はより多く動きます。

つまり少子高齢化はその逆なので経済成長が望めないのです。

ケースⅤでは経済成長率は0.0%です。

この水準が一番「想定」としては適正です。

 

経済を支える現役世代も”将来の現役世代”の子どもたちも少なくなるなか、あまり高めの予想はするべきではありません。

 

※ケースⅥでは▲0.5%とマイナス成長時も含まれていますが、資本主義経済でマイナス成長というのは確率的に低いと考えています。

詳細は割愛しますが、資本主義経済の歴史を振り返るときに、一時的にはマイナスに落ち込むことはあっても継続的にマイナスが続くことはありません。

 

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所得代替率とは?【最重要】

 

(現役世代が労働によって得られた賃金の平均値)÷年金支給額≧50%

 

※年金支給額とは夫婦2人分の国民年金+夫1人分の厚生年金

 

所得代替率は50%を下回ってはいけないと法律で定められています。

それは年金で老後の生活を支えるという観点から、下回ってはいけない下限を50%としているからです。

 

2019年現在は61.7%と6割を上回っていますが、2060年に向かって所得代替率は徐々に下がるとされています。

 

所得代替率は50%まで下がるもの

 

ケースⅠ、Ⅲ、Ⅴをよく見ると「厚生年金の調整終了」「国民年金の調整終了」という言葉が入っています。

 

”年金の調整”とはマクロ経済スライドの計算のもと、”財政の均衡のため”自動的に年金の収支が調整されることを意味します。

 

調整期間中は、検証後の100年間を保証するものと解釈してもいいでしょう。

経済成長を見込み、これから先も個人の所得は少しずづ伸びていく想定のもと、所得代替率は徐々に低下していくことはあらかじめ決まっているのです。

 

よく考えてみてください。

所得は徐々に上がると想定されているのに、年金給付額は定額(国民年金:6.5万円、厚生年金:9万円)であれば所得代替率は下がるに決まっています。

 

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マクロ経済スライドは”伸びていくであろう所得”に対して、徐々に年金給付額は追いつかなくなっていくため所得代替率は低下するという解釈です。

 

しかし、下限は50%と決まっているので、もし50%を下回るようであれば年金給付額を増額しなければ法律違反となってしまいます。

 

ケースⅤの場合では厚生労働省は2043年から年金の増額を行わなければなりませんし、もし出来ないのであれば内閣は法律の改正が必要です。

 

年金対策としてのオプションについて

 

ケースⅤでは2043年に所得代替率の下限である50%の水準になるため、政府は対応に迫られることとなります。

 

対策として2つのオプションが用意されています。

 

厚生年金の加入者を増やす

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厚生年金加入者をどれくらい増やすかには3パターン想定されています。

現在は5,700万人の加入者がいます。

 

適用化拡大①125万人増やす

・第1号被保険者➩第2号被保険者(自営業やフリーランスから会社員):45万人
・第3号被保険者➩第2号被保険者(扶養内の配偶者などから会社員):40万人
・非加入➩第2号被保険者(無職から会社員):40万人

 

【方法】

被用者保険の適用対象となる現行の企業規模要件を廃止した場合

➩所定労働時間週20時間以上の短時間労働者の中で、一定以上の収入(月8.8万円以上)のある者(125万人)に適用拡大する。

 

適用拡大②325万人増やす

 

・第1号被保険者➩第2号被保険者(自営業やフリーランスから会社員):90万人
・第3号被保険者➩第2号被保険者(扶養内の配偶者などから会社員):155万人
・非加入➩第2号被保険者(無職から会社員):80万人

 

【方法】

被用者保険の適用対象となる現行の賃金要件、企業規模要件を廃止した場合

➩所定労働時間週20時間以上の短時間労働者全体に適用拡大。学生、雇用契約期間1未満の者、非適用事業所の雇用者については対象外。

 

適用拡大③1,050万人増やす

 

・第1号被保険者➩第2号被保険者(自営業やフリーランスから会社員):400万人
・第3号被保険者➩第2号被保険者(扶養内の配偶者などから会社員):350万人
・非加入➩第2号被保険者(無職から会社員):300万人

 

【方法】

一定の賃金収入(月5.8万円以上)がある全ての被用者へ適用拡大した場合
➩学生、雇用契約期間1年未満の者、非適用事業所の雇用者についても適用拡大の対象。(雇用者の中で月5.8万円未満の者のみ対象外)

 

オプションを適用させた結果

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以上のように所得代替率が改善されます。

 

計算された結果についてウソではないのでしょう。

しかしこの場合は年金加入者の増加によって改善したというよりか、低収入の厚生年金加入者が増えたため現役世代の平均所得金額が押し下げられたことによる所得代替率の上昇でしょう。

 

あまり意味はないと思います。

 

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年金の支給時期を遅らせる

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現役世代と言われる20~60歳の世代を拡大し、年金支給額を遅くする方法です。

5パターンが検討されています。

 

①国民年金加入期間を20~65歳にする。
②在職老齢年金の基準を緩和・廃止する
③厚生年金加入期間を20~75歳にする。
④年金の受け取り開始時期を65歳から(繰上げ・繰下げ含む)75歳に統一する。
⑤①~④をすべて実施した場合

 

適用結果

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適用結果から分かること

 

  • ①は改善が認められる
  • ②③は効果なし
  • ④⑤は大幅に効果が認められる

 

年金受給額を75歳に遅らせることは非現実的でしょうから④⑤はないでしょう。

(提案すれば内閣は支持率を失い政権を維持できないでしょう。)

現実的に考えられるのは①です。

国民年金加入期間を65歳まで拡大するという選択肢は今後、確実に検討されるでしょう。

 

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所得代替率と支給年金額

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年金について【所得代替率】がずっと注目されています。

 

法律で50%を下回らないようにと定められているうえ、全体の所得平均からの比較であるため仕方ないと思います。

 

しかし年金はパーセンテージではなく【円】で支払われるので気を付けなければなりません。

 

上の表では2019年と2046年の所得代替率を比較したものです。

(2019年)

現役世代の平均手取り額・・35.7万円

夫婦の年金額・・22.0万円

 

(2046年)

※高成長

現役世代の平均手取り額・・50.6万円

夫婦の年金額・・26.3万円

 

※標準

現役世代の平均手取り額・・47.2万円

夫婦の年金額・・24.0万円

 

※低成長

現役世代の平均手取り額・・40.7万円

夫婦の年金額・・18.8万円

 

どのパターンでも2019年と比べて現役世代の所得が上がっています。

(※低成長の年金受給額だけ下回っています。)

果たしてそれは現実的でしょうか?

 

一般的な体感として

そんなに増えるわけないだろ!

と思うのが普通です。

 

ということは前提条件をもとにあらゆるケースを検討している今回の財政検証はピントがずれた意味のない検証内容である可能性があります。

 

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財政検証結果まとめ

 

検証といってもあくまで【想定値】であることを忘れてはいけません。

 

年金受給額のモデル

20~60歳まで会社で勤め上げて平均的な給料をもらった夫
20~60歳まで専業主婦の妻

 

いまどき、この想定通りの夫婦はいません。

今は夫婦二人で共働きで家族の生活を支えています。

 

賃金上昇率

 

一番悪いケースとしたⅤのパターンでも平均給与は伸びている想定です。

 

・少子高齢化はますます進む
・AIなどの機械化が進み非正規雇用も増える
・企業が稼ぐ主戦場は東南アジア~アフリカへ
・5Gの通信革命で未来より大きく変化するようになる

 

このような日本の環境下で安定して所得だけは伸びますと言われても説得力に欠けます。

 

未来は想定できません

 

財政検証であらゆるパターンを検証しましたが、結局その想定が正しいかどうかも、前提とする条件がピントとなってなければ意味はないのです。

 

しかし、政府は未来を想定して年金財政の均衡のために目的を達成しようとするでしょう。

 

①厚生年金加入者の拡大

②国民年金加入期間の延長

 

所得代替率の50%死守は厚生労働省の絶対に守らなければならない目的のため、必ず①②は実施されるでしょう。

(50%を下回れば年金増額だけはしたくないと思っている。)

この度の財政検証で明らかになったことといえば、この2つの目的を近い将来に達成するということです。