最近のトレンドである『副業』について記事を書きたいと思います。
というのも『副業』は多くの企業で禁止されているからです。
・本業に差し障るから
・起業の機密事項が漏れる可能性があるから
など理由は様々ですが、多くの企業で規定されている『就業規則』で副業禁止が謳われているケースが多いです。
また、公務員にあっては国家公務員法で明確に禁止と規定されています。
副業はどうやってもすることができないのでしょうか?
こっそり副業していたのがばれてしまった場合はどうしたらいいのでしょうか?
そんな悩みや疑問について深堀していきます。
副業とは?
副業とは本業の反対語として位置づけられます。つまりは主な収入源になり得る仕事を『本業』と呼び、お小遣い稼ぎを『副業』と認識して問題ないでしょう。
多くの従業員は企業に勤めるなかで、会社のルールに従うように求められます。
そのルールが就業規則として企業に定めてあり、順守するよう入社時に一筆書かされるのです。
副業といっても収入の種類によって給与収入、事業収入、そして雑収入の3つに分けられます。
たとえば、本業のほかに店舗などでアルバイトをしている場合それは給与収入となり、自分でビジネスを運営している場合は事業収入となります。
つまりは本業以外の収入すべてを副業と取り扱います。
副業をするのは法律違反か?
この問いにあっては、公務員は当てはまります。国家公務員法・地方公務員法で明記されているからです。
しかし、民間の会社社員は当てはまりません。民法・刑法・商法・労働基準法などの法律にも副業禁止は書かれていません。
記載されているのは企業が独自で作成した『就業規則』だけです。
就業規則に法的拘束力は一切ありません。
なので副業したからといって犯罪にはなりません。
ペナルティーとは会社から罰則を与えられるということです。
ではなぜ多くの企業が『就業規則』に副業禁止を謳うのか。
それは昭和の時代に厚生労働省が就業規則のモデルに『副業禁止』と書いたからです。
だた、それだけの理由です。
公務員は副業することができない?
公務員についても一定の条件を満たせば副業をすることができます。
大雑把にいうと
- 営利活動をしない
- 公務に影響しない
- 守秘義務を順守
- 儲けすぎない
ことです。
儲けすぎるとルールを守っていてもお咎めがあります。
代表的な公務員の副業は『不動産投資』です。
不動産投資も以下のルールを守る必要があります。
(公務員の副業禁止事項)
・不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
- 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
- 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
- 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
- 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
- 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
・駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
- 建築物である駐車場又は機会設備を設けた駐車場であること。
- 駐車台数が10台以上であること。
・不動産又は駐車場の賃貸に係る賃料収入の額(これらを併せて行っている場には、これらの賃料に係る賃料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合。
上記の内容に該当するような場合は副業に該当するとされ、公務員の方は原則禁止されることとなります。ですので、反対に言えば上記に該当しない小規模の不動産賃貸なら副業には当たらないと考えられますので公務員の方であっても、相続した土地や建物で賃料収入を得る事は可能と一般的には考えられています。
また、最近は公務員も一定の条件のもと副業を解禁するという流れになっています。
- 公務に影響しない
- 守秘義務を順守
を条件にNPO法人のような非営利組織に従事することは認める自治体も出てきています。いずれの場合も事前に届け出ることが絶対条件になります。
副業がばれた場合のペナルティー
公務員にあっては副業規定に違反する場合は、明確に法律違反となりますので処分の対象となります。
処分内容も副業の程度の度合いによって左右されるでしょうが、最悪は懲戒免職です。
企業にあっても就業規則違反ですので、企業内で定めたルールに乗っ取り処分が与えられます。最悪は懲戒解雇となります。
副業がばれる場合のパターン
規則で大げさに禁止と謳っている副業ですが、すぐにばれる可能性というのはそれほど高くありません。
というのも申告していなければ基本的に副業を知りえる術がないからです。
これはどの企業にも共通することだと思います。
では、なにをきっかけに副業していることがばれることになるのでしょうか?
皆さんも給与明細を確認していただければ分かるように、支給額から保険料などを控除した額の残りを手取として毎月受け取っています。
※給与明細の内訳表の詳細については以下の記事から年収別の控除額シミュレーションをご確認ください。
主な控除は以下の通りです。
- 所得税
- 住民税
- 社会保険料
それぞれ所管するお役所は以下の通りです。
- 管轄の税務署
- 各市町村の市民税課
- 各地の年金事務所
税務署からばれるパターン
一番ばれるパターンは税務署です。皆さんは毎年、確定申告または年末調整をして国に治める所得税を納めています。
※サラリーマンにあっては年末調整で経理担当者が一括で処理しているのであまり実感がないはずです。
各企業は特別徴収義務者として税務署から毎月ちゃんと所得税を控除するよう決められています。経理担当者は毎月の所得税を計算式に当てはめ大体の金額を国に納めます。そして、正確な数字を年末に確定させ、払いすぎた所得税を還付させます。
なので、なにかしらの副業を行えば副業先の経理担当者は給与を支払うと同時に控除した所得税を税務署に納付します。
そしてこの情報はマイナンバーで正確に把握されています。
結果として副業しているにも関わらず、ちゃんと申告しなかった場合は後日、税務署から企業の方に
『納付する所得税額がおかしい』
と通知されます。
そこで企業は初めて副業していることを知ることになります。
あとは実態を聴取され処分という流れになるのです。
市役所からばれるパターン
では副業していることを会社には言わずに確定申告で正確な所得税を税務署に納める場合はどうでしょうか。
所得税をちゃんと払っているので税務署が会社にお咎めをすることはありません。
しかし、『本業+副業』の総所得がしっかりと税務署から市民税課に通知されています。
市民税課は総所得から割り出した住民税を算出し、企業に対して控除するべき住民税額を通知します。
通知書には総所得額と毎月の住民税額が書いてあります。経理担当者は通知書を見ながらその年に控除しなければならない住民税情報を確認します。
そのときに支払った給与と総所得額が違ったら、
そこで企業は初めて副業していることを知ることになります。
年金事務所からばれるパターン
年金事務所へは毎月、厚生年金保険や健康保険料などを支払っています。
厚生年金への加入義務というのは近年、基準が低くなってきており、パート者でも一定の基準を超えれば加入義務が生じます。
≪判断基準≫
次の(ア)及び(イ)が一般社員の4分の3以上である場合は、被保険者になります。
(ア)労働時間
1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
(イ)労働日数
1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
(例)一般社員の1週の所定労働時間が40時間で、1月の所定労働日数が20日である場合
・1週の所定労働時間40時間×3/4以上=30時間以上
・1月の所定労働日数20日×3/4以上=15日以上
1週30時間以上及び1月の所定労働日数が15日以上業務に従事する従業員は、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず、被保険者となります。
このように少ない収入でも厚生年金に加入しなければならないのですが、万が一副業でも基準を超えてしまった場合はばれてしまいます。
それ以外では年金事務所からばれるという事例はあまりないでしょう。
マイナンバー制度で副業の抜け道がなくなった
以上のように特別徴収義務者としてそれぞれのお役所と連携して給与の支払いと天引きを行わなければならい関係上、情報共有がしっかりとしているので、会社に申告しなかった場合でも知りえる方法が存在します。
そして、マイナンバー制度が出来て以降、特別徴収義務者は税務署にマイナンバーを紐づけて報告しなければならくなったため、税務署は誰がどの会社からどの程度の給料をもらっているかが一目瞭然なのです。
そして、確定申告後の所得税額が計算額と合わない場合、すぐさま企業に連絡がいきます。
このような事例のように副業をこっそりしてても分かる仕組みが出来ているのです。
ですので副業を行う場合は正面から申告するのが一番だという結論に至ります。